久野です。皆さんご存知、五洋建設那須フィールドでの試験も、今回で4回目のようです。
今回は、コンクリートを剝がした跡地での試験という事らしいです。

一週間前

もはや直前であった。「なんとかして発泡スチロール溶かしたいんですよね」という彼の言葉に私は頭を抱えた。
どうやら模擬空洞として設置された、GL1mにあるクソデカ発泡スチロール空洞をリモネンで溶かしたいらしい。
結局、人手も確保できなかったらしいので、私が同行することになった。ということは、ここで準備しなければ不便を被るのは私じゃないか。
某教育番組の工作のように、ペットボトルに穴をあけたり、空気入れとつないだり、穴をあけたりして何とか完成させる。
急いで西那須野のホテルと、西那須野行きの新幹線をおさえた。
個人的に那須高原は、合宿免許でよくお世話になっていたので、勝手知ったるである。

前日

「明日から3日間、雨予報らしいね」と彼に伝えると。てるてる坊主を作り始めた。
それもそうで、雨が強く降っては弾性波計測は成り立たないし、土壌の含水が変わってしまっては計測条件も刻一刻と変わってしまう。
以前(?)から練っていた(?)緻密(?)で完璧(?)な計測プランが、スチロールの泡と化してしまう。
「早めに行ったところで、フィールド(五洋さん)的に9時からだから、早く那須に着いてもしょうがないか、、、」
「え?集合場所は那須塩原ですよ」
私は虚を突かれた思いがした。急いで新幹線の予約を変えたのだった。
後から知ったが、五洋の方も東京から移動で、那須高原駅でレンタカーを借りて、送迎までしてくれるらしい。
そりゃフィールド最寄りの西那須野集合にはしませんわ。
明日がとにかく晴れることだけを祈り、帰路に就こうとしたところで。
「空気入れ忘れるなよ」と言い残したが、研究室からは「やっべ!」と聞こえたらしい。

当日、1日目

大宮で新幹線に乗るべく、武蔵野線で移動していると、早朝からの眠気を覚ますかのような不穏な車内放送。
「現在、東北新幹線は停電により運転を見合わせております」
ただでさえ、仙台のほうは結構な雪で、東北方面行はダイヤが大乱れのところに、再開開始時間のアナウンスはない。
彼に現状を聞くと鈍行で移動し始めたらしく、五洋-東京組の2人は新幹線を待つらしい。
まあ、那須高原に着き次第、五洋-那須組の人が送迎してくれるだろう。
などと思っていたこの時の私は、大混雑の大宮駅にて、彼と同じ鈍行を選択、とにかく座りたい欲を優先した。
那須高原駅では「危ないところでした」と寝ぼけ眼で遅れて改札を出る彼。寝て降り過ごすギリギリだったらしい。

私にとっては初めての五洋建設 那須フィールド。少し楽しみな状態で現地に到着すると、、、
まともに顔が上げられないレベルの突風。風に負けて後ろ歩きを始める彼。軽い、軽すぎる。
風読みをして最低限の試験をして午前中を乗り切る。
理科大で食事が気になっていた私を待ち受けていたのは、五洋建設社員食堂500円Aランチ、Bランチ。
(ほーいいじゃないか。こういうのでいいんだよ、こういうので。)と心の中のゴローちゃんが呟く。
彼は食堂でずっと山を見ていた。どうやら登りたいらしい。

午後も結局、風読み、風待ちのギリギリ計測。ガタガタ震える彼を尻目に防寒対策万全な私。
午後を乗り切り、帰路も五洋の方の送迎。本当にありがとうございます。
移動し始めてすぐ彼に尋ねる。「忘れ物は大丈夫?本当に?、、、、本当に?、、、、、、、、、本当に?」
保育士の人から、顔を見て何度か聞けば園児は本当のことを言ってくれると聞いたので、最近試している。
「あ、やっべ!!!」
ノートパソコンをフィールド近くの試験室に忘れたらしい。
彼を待っている間、五洋の方が「桑野研の学生さんはみんな優しいですね」と言っていた。
ええ、そうですとも。うちの学生はみんな優しいです。悪意のない、まっすぐな心を持っているんです。

2日目

朝、なかなか湯木が降りてこない。ぴったりの時間に(片手に焼き芋を持ちながら)急いで降りてきた。
どうやら寝過ごすところだったのだろう。なんか昨日も改札で見たような景色だった。
変わった仕組みの社員カードのバーコードに思いを馳せながら、今日もセルフ上載圧かつヒッターとして叩いた枕木と岩。
そう、トリガーセンサーの故障、メインのトリガーケーブル断線(私のせい)、その他多くの故障により、
横起振用の枕木を、縦起振投入せざるを得なくなってしまったうえ、そこらへんに転がってた岩(石材)まで使い始めたのである。
叩くたびに変形し始める枕木、木屑が散ると良いヒノキの香りがする。最近、いい香りがしなくなってしまった枕木から最高にいい香り。
ハンドオーガでリモネン噴射用の穴を掘り始める、、、為のテストをしていた彼は
電動式ハンドオーガから右フックをもらって吹っ飛ぶ。軽い、軽すぎる。テスト孔からリモネンを垂らしてゆく。
原液リモネンによる暴力的な柑橘系の臭いで、ヒノキの香りがかき消される。
今日はたくさんセンサーも壊れたし、テープも工具もギリギリなことが分かった。本当に最終日を乗り切れるだろうか。
「まあ、何とかなるでしょう!」彼の言葉で、不安はさらに増長してゆくのだった。
この日彼は、帰り際に忘れ物をしなかった。えらい、えらい。

3日目、最終日

今日もギリギリ(+1分後)、に降りてくる彼の手には、何も握られていなかった。
それを見越してスーパーで買っておいた焼き芋とカロリー高めの総菜パンを握らせる。
現地で計測しながら少し溢しながら食べ始めていた。よその会社の敷地内だというのに肝が据わっている男だ。
いよいよリモネン本番孔の掘削時に電動ハンドオーガがまさかの暴走、手元の電源スイッチがONのままロック。
断線直前で、電源から切断。幸い壊れてはいなかったが、どこまでも悪運。
掘削孔をみていると、熊を退けた爆光ライトが暴走。ライトが切れなくなってしまう。
壊れたらしい。どこまでも悪運。
リモネン噴射器を持ちながら、リモネンボトルをおさえて、塩ビ管を抑えていたら、まさかの塩ビ管落下。手が足りない。
荒川調査でモグラ穴に突っ込んでいた激安小型カメラが壊れた。どこまでも悪運。

彼はどうしても空洞内を撮影したいらしく、自身のiPhone(サブ機?)のケースに、スズランテープを着けて下ろそうとする。
東大も五洋も、壊れたら補填できないと言うと諦めた、、、
ように見えて。しきりに「うぅ、、、」と唸っている。
そんなに撮りたいなら、なぜ準備しなかったんだ、というのは桑野研の日常。
ガムテープで特性かつ即席のiPhoneケースを作ると笑顔で孔内を撮影し始める彼。
iPhone内臓LiDAR対応の(初めて使う)アプリを起動して、点群観測も始めたが、果たして計測できているのだろうか。
なんだかんだで、最終日は風も弱まり、初日にあった水たまりも消え、土壌の含水が日に日にゴリゴリ変わっていく中での計測を完遂した。

帰り際、新幹線に乗ろうとすると「温泉行ってきます」と徐にカーシェアを借り始める彼。
10kgの土壌サンプルを抱えてどこへ行く。まあいいか。
帰ったら計測装置の修理とメンテナンスがたくさん待っているから、今のうちに羽を伸ばしておくといい。
肉体的な疲労もほどほどに、謎の精神的疲労を携えて帰路につく私。
疲労から得られた今回の(誰かへ宛てた)教訓。準備は大事。

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